環境負荷ゼロ、難民ゼロをめざすエシカルパソコン・ZERO PC。本来廃棄されるパソコンや電子機器を法人様から回収し、リユースパソコンとして整備を行い『ZERO PC』として販売しています。
今回は改めて、ZERO PCが生まれたワケ、ZERO PCにかける情熱、そして思い描く未来について、代表の青山にインタビューをしました。エシカルパソコンという選択がもっともっと広まるように、ZERO PCの物語を知っていただけたら嬉しいです!(インタビュアー:ZERO PC 広報 田中)
パソコンのリユース事業を始めた理由
そもそも、パソコンのリユース事業を始めたのはなぜですか?
日本に逃れてきた難民の人たちが、「安心して働ける場所」を作りたいと思ったのがはじまりです。日本語ができなくても日本社会に役立つこと、そして世界でも活かせる技術は何だろう?と考えて辿り着きました。日本では年間で約300万台のパソコンが捨てられていて、その資源を有効活用できたら面白いと思ったんです。
なるほど、難民の人たちが「安心して働ける場所」は少ないのですか?
そうですね、創業当時はほとんどなかったですし、今もとても少ないです。
特に難民認定申請中の人たち、まだ難民認定されていない人たちは、特定活動ビザで日本に滞在しています。個人の状況にもよりますが、6ヶ月ごとにビザを更新しなければならないので、とても不安定なんですね。
半年ごとの更新は、手間もかかるし不安もありますね。
そうですね。ビザが不安定だと企業側も雇用しにくいので、日雇いの肉体労働やホテルのルームメイクなど、どうしても条件の悪い仕事に限られてしまいます。僕が実際に聞いた話によると、言葉が分からないのを利用されて、給料が払われないこともあるそうです。
それはひどい…ピープルポートでは基本的に正社員雇用ですね。
はい、最初の3ヶ月~6ヶ月は試用期間でアルバイト契約ですが、その後は正社員雇用になります。これまでの難民メンバーは、全員正社員になっています。業務に能動的に関わってもらうために2週間に1回ミーティングをして、より良いサービスを提供するにはどうしたらいいか、一緒に考える場所を設けています。
海外メンバーと働くということ
いろいろな国の人と働くことで、これまで大変だったことはありますか?
海外メンバーだから大変ということはないです。むしろ、僕たちが気付かされること、勉強することが多いです。ただ、最初に雇用した二人のメンバーが辞めてしまったことは、本当に辛かったです。
なぜ辞めてしまったんですか?
一番は、僕たちが彼らの状況に寄り添えていなかったということです。事業を立ち上げたばかりで、とにかくがむしゃらにやっていたので、全体が見えていなかった。パソコンを売るために商店街で催事をやったり、飛び込み営業で回収先を探す毎日で、僕と立ち上げメンバーのもう一人は、ほとんどオフィスにいなかったんです。
事業を始めたばかりで目の前のことに必死ですよね。
パソコンの整備をしていた海外メンバーは、二人だけで作業をしなければならない状況が続きました。そうすると、将来への不安や日常生活の問題、日本での難民認定手続きの状況など、彼らの話を聞く機会をあまり作ることができなかったんです。「安心して働ける場所」を作ろうと会社を始めたのに、彼らを安心させることができていなかったんですね。
なるほど、最初の目的を見失ってしまったと…
意識していたつもりでも、できていなかったんです。最初に雇用したメンバーに、
「この国では自分の人生を生きられない。全て誰かにコントロールされている気がする。だから私は命の危険があるのはわかっているけど国に戻る。その方がマシだ。」
と言われたのは、本当にショックでした。
それはショックですね…
このままじゃダメだと、事業も成長させて、海外メンバーが安心して働くためにどうしたらいいか考えました。そこで、オフィスにいてもパソコンを販売できるECサイトを始めることにしたんです。これが、ZERO PCが始まったきっかけです。
エシカルパソコンを選んでもらうために
中古パソコンのECサイトはたくさんあると思いますが、どんなことを意識して始めましたか?
大きく2つあります。1つ目は、パソコンに詳しくない方でも選びやすくすることです。新品のパソコンでも、難しい英数字の羅列でよく分からないと思うんです。中古パソコンには不安もあると思うので、用途に合った性能別に4つのカテゴリーに分けてみたり、LINEでの問い合わせ窓口を設けたりと工夫をしています。
確かに、パソコン初心者の方から「分かりやすい」と言っていただけることもい多いです。
2つ目は、我々が考えていること、取り組んでることを正直に伝えることです。難民問題、環境問題のことは、特に立ち上げた当時はまだまだ「買い物をする上でいらない情報」だったんです。ですが、やはり我々の想いを伝えたいということで、WEBサイトでもしっかりとお伝えしています。商品よりも目立つくらいに(笑)
確かに目立ってます!
では、ECを運営する上で、どんなことが大変ですか?
まだまだ「パソコンをオンラインで買う」ハードルが高いということです。ただでさえ選び方が難しいパソコンで、さらに中古となると難易度が上がります。パソコンに詳しくない方でも、いかに寄り添って用途にぴったりなものをご提案できるか、常に考えています。
実物をご覧になりたいというお客様も多いですね。
是非、ショッピングモールのZERO PC販売会にお越しいただきたいと思います。
そうですね、実際に手にとれる機会は大事だと思うので、ZERO PCにとって催事も重要な販売チャンネルです。回収したパソコンは、どうしても見た目のダメージが大きいものもあるので、ECだと販売しにくいんです。催事では丁寧に接客しながら納得してご購入いただけるので、それは対面の大きなメリットだと思っています。また、催事で見ていただいて、後からお問い合わせいただくことも多いので、ZERO PCを広く知ってもらえる場所だと思っています。
.今、ZERO PCの売上はどれくらいですか?
売上は2年連続で1億円を超えています。ただ、利益率がよくないので、売上を維持しつつ利益率を上げることがビジネスとしての目標です。そして利益を上げることで、より多くの難民メンバーを雇用できるので、100人雇用をめざしています!それも通過点でありたいぐらいの気持ちです!
100人雇用、なるべく早く実現したいですね!
エシカルパソコンZERO PCの未来
他に、未来の目標はありますか?
夢は広がるばかりで、たくさんあるんですけど(笑)
まず今年中に必ず実健したいのが、ソフトウェア部門の立ち上げです。会社としてビザを発給できるように、より専門職の強い部門を立ち上げたいと思っています。
ビザの発給をめざすのはなぜですか?
日本の難民認定率は0.7%(難民支援協会HPよりhttps://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/)と、非常に低いです。
うちのメンバーにも、3年以上待って、まだ一度も入管の面接を受けていない人もいます。長い間将来の不安を抱えながら待たされて、その結果不認定になる確率が高いので、日本の難民認定だけに頼っていてはダメだと考えています。難民申請から技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)に切り替えることができれば、安定して日本に滞在することができるので、会社としてビザの発給をめざしています。
なるべく早く、安定したステイタスを持てるようにということですね。
では最後に、この事業を始めてよかったことを教えて下さい!
難民という立場にいるメンバーに「家族みたいな場所だ。働けることで3食食べられて、自分が買いたいものも買える。ピープルポートがあってよかった」と言ってもらえたことですね。また、思いやりがあり、同じ問題意識を持っている良いメンバーに恵まれたことも、会社をやっていてよかったと思うことです。
「難民」という状態になることが、人生における暗黒時代になるのではなく、新しく人生を描き直せるターニングポイントになって欲しいなと思っています。そして、辛い経験があったからこそ、次の世代がより平和な社会を生きられるように、平和構築にも一緒に取り組んでいきたいと考えています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回はZERO PCの代表の青山にインタビューしてみました。
エシカルパソコンの誕生にはこんな背景があったんですね!
環境にも人にも優しいエシカルパソコン『ZERO PC』はこちらからご購入できます!